臨床心理学研究室小野広明 教授

自己紹介

氏名:小野広明(おの・ひろあき)
現職:埼玉工業大学大学院人間社会研究科及び人間社会学部心理学科教授
    埼玉工業大学副学長、学生部長、留学生支援センター長

私は法務省の矯正施設の主に少年鑑別所で非行のある少年の鑑別の実務に就いてきました。少年院にも3年ほど勤務し、少年たちの処遇に関与しました。また、刑務所で受刑者の心理査定も行ってきました。私はこうした経験を活かし、平成22年度から埼玉工業大学大学院人間社会研究科及び人間社会学部心 理学科で犯罪心理学、非行臨床心理学、臨床心理査定等を教えています。
犯罪・非行はほとんどの人にとっては無縁な世界ですが、それらは特殊・例外的な行動ではありません。人間の本質が極端な形で又は先鋭的な形で発現した行動です。「特殊」、「例外」と思える行動の中に一般性が見えてくると言い換えることができるかもしれません。また、犯罪・非行は現代の社会と人間のありようを映し出す鏡です。したがって犯罪・非行の研究は、今私たちが生きているこ社会を知る、人間を知る、そして私たち自身を知る、私たちがいかに生きるべきかを知るということに行き着きます。犯罪・非行研究は、安全・安心な社会を実現することを目的としていますが、それは私たち自身が犯罪・非行を通して人間のあるべき姿を明らかにしていくということでもあるのです。犯罪・非行心理に関心がある又はそれを研究したいという学生の動機はさまざまですが、是非この視点を忘れずに勉強してほしいと思います。
研究及び教育の領域:犯罪・非行原因論、犯罪・非行からの立ち直り、犯罪被害者心理の理解と犯罪被害者支援等

担当授業

1年生:基礎演習Ⅱ
3年生:一般実験演習Ⅰ・Ⅱ、犯罪心理学、非行臨床心理学、臨床心理査定・面接、働くことの科学と実践Ⅰ・Ⅱ
4年生:総合研究演習Ⅰ・Ⅱ
大学院:臨床心理実習Ⅰ・Ⅱ、犯罪心理学特論、臨床心理面接特論Ⅱ、臨床心理学特論Ⅱ、臨床心理学研究法特別輪講

ゼミ紹介

犯罪・非行臨床心理学研究室(小野ゼミ)では、犯罪・非行はなぜ起きるのか、犯罪・非行からの立ち直りには何が必要か、犯罪被害者及び遺族はどのような心理や生活を余儀なくされるのか、犯罪被害者支援はどうあるべきかなどの研究テーマに取り組みます。犯罪に関する理論研究に加えて、個別・具体的な事例の研究を通してテーマを追究します。また、社会で活躍するゼミ卒業生を招いての講話と座談会の実施、少年鑑別所・少年院・児童養護施設の参観、県警少年非行防止学生ボランティアへの参画など、社会とのつながりを重視した指導を行っています。

主な研究・経歴

経歴

山形県出身 昭和30年生 昭和54年立命館大学産業社会学部卒業。
昭和60年北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得修了。
同年法務省に入省し、東京、千葉、さいたま、仙台、秋田、青森の少年鑑別所及び仙台市の東北少年院の法務技官(心理職)、東京矯正管区及び札幌矯正管区の医療分類課長、山形、富山の少年鑑別所長を歴任。
平成22年3月富山少年鑑別所長退職後、同年4月本学教授に就任。
平成24年度から学生部長・留学生支援センター長(現職)、25年度から副学長(現職)

資格

臨床心理士

所属学会

  • 日本犯罪心理学会
  • 日本社会病理学会
  • 日本矯正教育学会
  • 日本仏教心理学会

主な著作

  1. 「犯罪に挑む心理学―現場が語る最前線―」 2002 共著 北大路書房 Ver2 .2012
  2. 「北米におけるサイコパスの診断と処遇をめぐる最近の動向」2002 日立みらい財団  犯罪と非行第134号
  3. 「サイコパシーと非行」2006. 至文堂 現代のエスプリNo.462
  4. 「北海道の矯正医療を支える人々(上)(下)」2005 矯正協会,刑政116巻11号及び12号
  5. 「病める社会における少年の健全育成~少年鑑別所の現場から~」 2006. 矯正協会 刑政117巻12号
  6. 「非行臨床の対象及び倫理としての社会」 2011 埼玉工業大学人間社会学部紀要第9号 
  7. 「非行少年の言葉の意味理解をめぐって」 2011 埼玉工業大学臨床心理センター年報第5号 
  8. 「犯罪心理学の扉をどのように開けるか」 2013 埼玉工業大学出版会「心のテクノロジーを学ぶ―心理学に関心のあるあなたへ―」所収 
  9. 「自他の労働への感謝~いま求められる職業倫理~」 2014 埼玉工業大学出版会「若い世代へのメッセージ―職業と人生の選択に悩むあなたへ―[改訂版]」所収
  10. 「児童養護施設の親機能の理解~非行臨床実務経験を基に~」 2015 埼玉工業大学臨床心理センター年報第9号
  11. 「児童養護施設児童の親への認知について~施設職員へのインタビュー調査に基づく概念化の試み~」(金井志穂との共著) 2015 埼玉工業大学臨床心理センター年報第9号
  12. 「心理臨床家は学校教育現場といかに向き合うべきか~曇りのない心で学校の現実を理解すること~」 2016 埼玉工業大学人間社会学部紀要第14号
  13. 「犯罪とSNSとの接点~呉市少女遺棄事件・秋葉原無差別殺傷事件の分析から~」(加藤美穂・北條愛との共著) 2016 埼玉工業大学臨床心理センター年報第10号
  14. 「死ぬことの恐怖よりも朝起きることの地獄~犯罪被害者心理の実像の概念化~」(川上佳澄との共著) 2016 埼玉工業大学臨床心理センター年報第10号
  15. 「少年院における面接指導」2016 日本犯罪心理学会編 犯罪心理学事典 丸善出版
  16. 「Q&Aによる犯罪心理学への招待」 2017 人間社会学部本 埼玉工業大学出版会
  17. 「犯罪被害者孤児としての半生~現世において千の犯罪被害者遺族へ千の支援の輪を~」(荒木稔との共著) 2017 埼玉工業大学臨床心理センター年報第11号
  18. 「ろう重複障害者への理解と求められる心的援助~聴覚障害者としての体験と施設における実務経験に基づいて~」(中川大輔との共著)  2017 埼玉工業大学臨床心理センター年報第11号

学会発表(発表抄録)

  1. 「承認と拒否のなかの逸脱~Labelling Theory再考~」 1989 日本犯罪心理学会「犯罪心理学研究」第27巻特別号
  2. 「生活史分析の方法と課題」 1990 日本犯罪心理学会「犯罪心理学研究」第28巻特別号
  3. 「非行少年の親子関係を観察する微視的視点とその分析に関する考察」 1994 日本犯罪心理学会「犯罪心理学研究」第32巻特別号
  4. 「宗教と逸脱行動」 1995 日本犯罪心理学会「犯罪心理学研究」第33巻特別号
  5. 「親子関係の観察と診断Ⅱ~非言語的コミュニケーションを中心に~」 2000 日本犯罪心理学会「犯罪心理学研究」第38巻特別号
  6. 「サイコパスの診断について」 2001 日本応用心理学会大会発表論文集2001、68巻
  7. 「サイコパスが我々に直面させる問題」 2005 日本犯罪心理学会「犯罪心理学研究」第43巻特別号
  8. 「鑑別面接における語り(ナラティヴ)の諸相」 2007 日本犯罪心理学会「犯罪心理学研究」第45巻特別号
  9. 「矯正施設における研究倫理の確立と研究活動の充実化」 2010 日本犯罪心理学会「犯罪心理学研究」第48巻特別号

地域連携~委員、講演講師 平成24年度~

  • 深谷市シティプロモーション市民検討会議委員長(現)
  • 深谷市いじめ問題対策連絡協議会会長(現)
  • 深谷市いじめ問題専門委員会副委員長(現) 
  • 熊谷市立妻沼東中学校区サポートチーム連絡会議委員(現)
  • 埼玉県立深谷高等学校学校評議員(現)
  • 社会福祉法人三愛学園児童養護施設さんあい評議員(現)
  • 深谷市公共施設在り方検討市民会議会長
  • 長野県生徒指導連絡協議会更埴支部中高連絡会研修講師
  • 深谷市立川本南小学校教育講演会講師
  • 越谷市教育委員会生徒指導担当研修講師
  • 深谷市小中学校長研究協議会講師
  • 長野県教育委員会南信教育事務所研修講師
  • 春日部市立江戸川中学校ふれあい講演会講師
  • 埼玉県北部地区公立・私立高等学校生徒指導担当者研修講師
  • 深谷市学警連研修講師
  • 埼玉県学校保健会北部高等学校支部研修会講師
  • 埼玉県立狭山工業高等学校教職員研修会講師
  • 深谷市生徒指導推進協議会講師
  • 深谷警察署署員研修会講師
  • 寄居町指導委員研修会講師
  • 深谷市立岡部中学校ふれあい講演会講師
  • 家庭裁判所調査官研修会(仙台家庭裁判所)講師
  • 深谷市障害者基幹相談支援センター主催障害に対する理解促進・啓発研修講師
  • 埼玉県教育局北部教育事務所主催いじめ・非行防止ネットワーク会議講師
  • 寄居町PTA連合会研修会講師
  • 埼玉県警察スクールサポーター研修会講師
  • 埼玉県教育委員会明るく安心して学べる学校づくり研修会講師
  • 埼玉犯罪被害者支援センター相談員研修会講師
  • 三郷市教育委員会 非行・いじめ防止啓発講演会講師

過去の卒業論文など

主な卒業論文

  • 犯罪とSNSとの接点―呉市少女遺棄事件・秋葉原無差別殺傷事件の分析から―
  • 犯罪被害者心理の実像―被害者及び遺族の語りからの概念化―
  • 男性の暴力から逃れられない女性の心理に関する研究 ―DV・デートDVに焦点を当てて―
  • 日常生活における迷惑行為に関する研究
  • 未成年による家族殺人の心理とその抑制に関する事例研究
  • 児童養護施設入所児童の親への認知―児童養護施設職員へのインタビュー調査から―
  • 親と暮らせない子供たちの心理―児童養護施設職員へのインタビュー調査結果等から―
  • 4つの凶悪事件の犯人の心の闇を読み解く
  • 不都合なラベリングに対する対処行動について
  • 学校におけるいじめ問題の一考察-教師の意識調査に基づいて―
  • 親子関係と非行・問題行動の抑制・促進要因についての一考察―大学生へのインタビュー調査等をもとに―
  • 犯罪発生と環境との関係についての実地調査研究―加害者・被害者シミュレーションから―
  • 親の養育態度が子供の犯罪観念に与える影響について

修士論文

  • TAT検査の有効性に関する研究―攻撃性に焦点を当てて―
  • 非行からの立ち直りに関する研究―語りと生活史の分析を中心に―
  • 我が国におけるサイコパス概念の有効性について
  • 女子の性非行とメディアリテラシー能力の関係についての研究―いわゆる「援助交際」に焦点を当てて―
  • 教育現場における教師の問題行動対応の実際と課題ー心理臨床家の役割にも焦点を当ててー
  • 自傷行為の実態及び心的特性に関する研究―非行群にも着目して―
  • 心理臨床へのラベリング理論の適用に関する試み―
  • 児童養護施設の児童にとって親とは何か―施設のフィールドワーク調査ー

研究室一覧

  1. 基礎心理学研究室

    曾我重司 教授
    アニメーションや特撮の動きや空間表現を知覚心理学的に分析しています。

  2. 基礎心理学研究室

    大塚聡子 教授
    人間がさまざまなものを見て、評価して、反応する、そのしくみを調べています。

  3. 基礎心理学研究室

    河原哲雄 教授
    こころのはたらきを支える情報処理プロセスを心理学実験で探ります。

  4. 臨床心理学研究室

    三浦和夫 教授
    芸術療法や特に箱庭療法に力を入れてます。

  5. 臨床心理学研究室

    袰岩秀章 教授
    集団、学校、人格形成という切り口で人の心の理解や臨床訓練に取り組みます。

  6. 臨床心理学研究室

    友田貴子 教授
    抑うつ気分からの回復やストレスへの効果的な対処などを探っています。

  7. 臨床心理学研究室

    藤巻るり 准教授
    心理療法やこころの発達について、イメージや遊びという視点から研究しています。

  8. 臨床心理学研究室

    小野広明 教授
    犯罪加害者と被害者への理解と支援について、事例を通して考えます。

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