自己紹介
専門は,認知心理学です。人間の心を,情報を処理するコンピューターのような機械と比較して,その仕組みやはたらきを調べています。具体的には,人間が経験からどうやって知識を学んでいるのか,記憶や言語の仕組みはどうなっているのかを研究しています。
普段は,コンピュータを使った心理学実験を行って,そのデータを説明するために,またコンピュータを使ってモデルを作ったりしています。なんだか心理学っぽくないですね。でも本当は,そうやっていくらモデル化しても,はみ出してしまう部分が,人間の心のおもしろいところなのかな,と感じています。
担当授業
1年次:心理学統計法Ⅱ,基礎演習Ⅱ
2年次:心理学実験,認知心理学,教育心理学,言語心理学
3年次:一般実験演習Ⅰ・Ⅱ,心理データ解析法
4年次:総合研究演習Ⅰ・Ⅱ
大学院:認知心理学特論,認知心理学特別研究
ゼミ紹介
認知心理学とは,ヒトの心のはたらきや仕組みを,情報処理の観点から研究する学問です。河原研究室では,ヒトが学習や経験を通じて,どのようにしてコトバや知識を使いこなせるようになるのか,記憶の仕組みはどのようになっているのかといった問題を,主に心理学実験と情報処理モデルの手法を用いて研究しています。ゼミ生の卒業論文・修士論文には,これらの領域以外にも,対人認知や顔の情報処理,図や動画の理解,教育や消費者心理にかかわる研究などがあります。
主な研究・経歴
■著書
- 埼玉工業大学人間社会学部編『人間社会学本』, 「なぜそれを買ったの?―実験心理学と消費者理解」, 埼玉工業大学出版会, 2017年3月, 129-136.
- 日本心理学会認定心理士資格認定委員会編『認定心理士資格準拠 実験・実習で学ぶ心理学の基礎』 , 「パーソナルコンピュータを用いた心理学実験」, 金子書房, 2015年8月, 141-144.
- 齊藤勇・匠英一監修, 日本ビジネス心理学会編『ビジネス心理検定試験公式テキスト <1>基礎心理編』, 第8章「意思決定の心理 個人と集団の意思決定」, 中央経済社, 2013年8月, 168-188.
- 埼玉工業大学人間社会学部心理学科編『心のテクノロジーを学ぶ~心理学に関心のあるあなたへ~』,第2章,「認知心理学を学ぶ 概念の心理学」,埼玉工業大学出版会,2013年3月,19-31
- 針生悦子編『朝倉心理学講座5 言語心理学』,第10章,「言語獲得のコンピュータ・シミュレーション」,朝倉書店,2006年4月,180-196.
- 人工知能学会編『人工知能学事典』, 「2-14 心理学」,「2-20 概念とカテゴリー」,「2-d 連想」, 共立出版, 2005年12月
- 都築誉史・楠見孝編『高次認知のコネクショニストモデル-ニューラルネットワークと記号的コネクショニズム』, 第1章, 「高次認知のコネクショニストモデル」,共立出版, 2005年8月, 2-34.
- 都築誉史編『認知科学パースペクティブ ―認知心理学からの10の視点―』, 第4章, 「知識」, 信山社, 2002年6月,75-99.
- 大村彰道監修,秋田喜代美・久野雅樹編『文章理解の心理学 -認知、発達、教育の広がりの中で-』, 第6章「文章理解のコンピュータ・シミュレーション」, 北大路書房, 2001年9月,90-101.
■論文
- 河原哲雄・松香敏彦「『特集―概念研究再考』編集にあたって」, 認知科学, 2010年3月, 17巻1号, p.1-3.
- 河原哲雄「言語獲得研究の諸問題(2)」, 埼玉工業大学人間社会学部紀要, 2006年3月, 第4号, p.21-30.
- 河原哲雄「言語獲得研究の諸問題」, 埼玉工業大学人間社会学部紀要, 2004年3月, 第2号, p.1-9.
- 河原哲雄「概念の認知研究の動向:Back to the Feature」,日本神経回路学会誌, 2002年12月, Vol.9, No.4, p.242-249.
- 都築誉史・河原哲雄・楠見孝「高次認知過程に関するコネクショニストモデルの動向」, 心理学研究, 2002年2月, vol.72, No.6, p.541-555.
- 河原哲雄「概念の構造と処理」, 人工知能学会誌, 2001年5月, 第16巻, 3号, p.435-440.
■学会発表
- 河原哲雄「限定ラベルの顕在的・潜在的呈示が商品選好に及ぼす影響」,日本認知心理学会第16回大会発表論文集,pP2-014,2018年9月,立命館大学
- 河原哲雄「反復閾下単純接触による商品評価の低下(3)」, 日本認知心理学会第15回大会発表論文集, P3-10, 2017年6月, 慶應義塾大学
- 河原哲雄「反復閾下単純接触による商品評価の低下(2)」, 日本認知心理学会第14回大会発表論文集, 50, 2016年6月, 広島大学
- 河原哲雄「反復閾下単純接触による商品評価の低下」, 日本認知心理学会第13回大会発表論文集, 70, 2015年7月, 東京大学
- 河原哲雄「画像-単語マッチング課題における上位概念共有効果 : カラー写真画像を用いた再検討」, 日本心理学会第78回大会発表論文集, 667, 2014年9月, 同志社大学
- 河原哲雄「画像-単語マッチング課題における上位概念共有効果 : SOA の影響(2)」, 日本認知心理学会第10回大会発表論文集, 49, 2012年6月, 岡山大学
- 河原哲雄「画像-単語マッチング課題における上位概念共有効果 : SOA の影響」, 日本認知心理学会第9回大会発表論文集, 79, 2011年5月, 学習院大学
- 河原哲雄・松香敏彦「概念」, 2010年9月, 日本心理学会第74回大会発表論文集,WS(2), 2010, 大阪大学(ワークショップ企画・司会)
- 河原哲雄「上位概念レベルにおける画像ー単語マッチング:最上位概念共有効果は存在するか?」,日本認知心理学会第8回大会発表論文集,113,2010年5月,西南学院大学
- 河原哲雄「Opening Remark」, 千葉大学スタートアップCOE『認知適応科学の創成』プロジェクト・catkat研究会共催『概念研究ワークショップ』 , 2010年2月, 千葉大学
- 河原哲雄「概念の数理認知モデル」, 2009年9月, 日本認知科学会第26回大会, W(3), 2009, 慶應義塾大学(ワークショップ指定討論)
- 河原哲雄・松香敏彦「概念」, 2009年8月, 日本心理学会第73回大会発表論文集,WS(77), 2008, 立命館大学(ワークショップ企画・司会)
- 河原哲雄・犬塚美輪「虚記憶における警告の効果(3)-連想語産出と出力モニタリング-」,2009年8月, 日本心理学会第73回大会発表論文集, 854, 2009, 立命館大学
- 河原 哲雄「画像-単語マッチング課題における上位概念共有効果の左右差」,2009年7月, 日本認知心理学会第7回大会発表論文集, 82, 2009, 立教大学
- 河原哲雄・犬塚美輪「虚記憶における警告の効果(1)―虚再生・虚再認の関係と出力モニタリング―」,2008年9月,日本心理学会第72回大会発表論文集,845,2008,北海道大学
- 犬塚美輪・河原哲雄「虚記憶における警告の効果(2)―日常記憶・メタ記憶との関連から―」,2008年9月,日本心理学会第72回大会発表論文集,846,2008,北海道大学
- 山本亮・河原哲雄・大塚聡子「画像-単語マッチング課題における上位概念共有効果」,2008年9月,日本心理学会第72回大会発表論文集,648,2008,北海道大学
- 松香敏彦・河原哲雄「概念」,2008年9月,日本心理学会第72回大会発表論文集,WS(43),2008,北海道大学(ワークショップ企画・話題提供・司会)
■経歴
- 1993年:東京大学大学院教育研究科博士課程単位取得退学
- 1993年:東京大学教育学部教育心理学科助手就任
- 2003年:埼玉工業大学人間社会学部心理学科助教授就任
- 2012年:埼玉工業大学人間社会学心理学科教授昇任
過去の卒業論文など
■過去の卒業論文の例
大崎勇太朗 (高崎商業高校,2010年度卒業生)
タイトル:「情動的共感性別に見た物語から受ける感情的・行動的影響尺度」
小説やドラマなどの日常的な物語鑑賞体験から、大学生が感情面、行動面でどのような影響を受けているのかについて質問紙法を用いて調査した。自作の「物語から受ける感情的・行動的影響尺度」および気分調査票、情動的共感性尺度間の関係を検討した結果、感情的暖かさに対応する情動的共感性が高いほど、物語登場人物のポジティブな情動反応から前向きな影響、ネガティブな情動反応から後ろ向きな影響を受けやすいことが分かった。
■過去の卒業論文のタイトル例
- 「血液型ステレオタイプによる対人認知への影響」
- 「上位概念レベルでの画像-単語マッチング判断における上位概念共有効果」
- 「言語隠蔽効果に及ぼす言語化の効果」
- 「商品選択過程における他者評価情報の利用」
■過去の修士論文の例
山本亮(2008年度修了)
タイトル:「メカニズムの理解に及ぼす図の効果ー静止画・動画・実物による比較ー」
複雑なシステムの挙動や動作原理を理解する際に,説明文を伴う静的な図と動画,実物といった提示メディアの違いが,学習過程にどのように影響するかを実験的に検討した。実験材料として,LEGO Mindstorms NXTを用いた,クランクによる首振り機構と歯車の回転による伝達機構を併せ持つメカニズムを作成した。実験の結果,空間処理能力の影響を除いた学習後の理解成績に,提示メディアの違いの効果は見らなかった。情報量やデザインを一致させることで,説明文を伴う静的図によっても,動画や実物に劣らない水準で複雑システムの理解が可能であることが示された。