最先端のプラスチック

皆さんはプラスチックといえばどんな事を思い浮かべるでしょうか?「コンテナー容器」「カラフル」「安全」「身近な素材」「安価」「軽くて丈夫」「リサイクル」などが好ましいイメージの代表だと思います。対照的に悪いイメージでは、「石油資源の浪費」「いつまでも残る」「ポイ捨てごみ」「燃やすと有害」「ダイオキシンの元」などがあげられます。いずれのイメージもプラスチックの特徴を反映したキーワードであることから、プラスチックは日常生活において目に見えて手に触れることができるがゆえに、私たちの暮らしに必要不可欠な材料として認識されているといえます。

このような身近なプラスチックとは対照的に、特殊な機能を持つプラスチックが開発され、様々な製品に利用されるようになってきています。これらのプラスチックは目に触れることが少なく、しかも一見しただけではその働きがわかりません。その代表選手が電気が流れるプラスチックです。近年広く普及したLEDランプをはじめ、電池、電子機器などの部品材料として利用され、社会発展に大きく貢献しています。その功績で電気が流れるプラスチックの発見者である、白川先生にノーベル化学賞が授与されたことは記憶に新しいことと思います。

次世代を担う新しいプラスチックが従来のプラスチックと比較して違うところは、原子・分子レベルで精密に構造が設計されていることです。分析機器の進歩により、今まで困難であったプラスチックの構造解析が可能となり、プラスチックの構造を精密に設計することによって様々な機能が得られることが明らかになりつつあります。まさに現代のナノテクノロジーを活かしたプラスチックといえます。

特に注目に値する流れは、プラスチック材料が印刷技術と融合して新たな「ものづくり」に展開しつつあることです。最近話題になった3Dプリンターでは、プラスチック材料がインクとして使用されています。電気が流れるプラスチックをインクに用いて印刷できれば、従来の半導体産業とは全く異なる手法で電子回路を構築することができます。しかも出来上がった電子回路は非常に薄くて軽量、柔らかくて自在に曲げることができるので、身に着けても生活の支障にならないコンピューター、ウェラブルコンピューターの開発につながります。このような特性を持つウェラブルコンピューターの開発はIT産業に直結し、社会に変遷をもたらす技術革新になると予想されています。

日常よく目にするプラスチック、原子・分子レベルというナノテクノロジーの技術で開発される「最先端のプラスチック」が、我々の社会をより一層豊かにする日は近いと感じています。

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